高濃度ビタミンC点滴療法に関する注意事項

G6PD活性値の定量検査が必須です

日本人の約0.1~0.5%においてG6PD活性が低いと疫学調査で報告されており、その方が50g以上の高濃度ビタミンC点滴療法を受けると溶血発作を起こす危険性があります。また、25gを継続的に受ける場合も注意が必要です。そのため高濃度ビタミンC点滴療法を行う前にG6PD活性を定量で測定する必要があります。G6PD活性定量検査の結果、G6PD欠損症の方が高濃度ビタミンC点滴療法を受けることはできません。また、G6PD活性低下症の方が受ける際には細心の注意を払う必要があります。

G6PD活性測定検査には定量検査と定性検査の2種類があります。点滴療法研究会では高濃度ビタミンC点滴療法のリオルダンプロトコルにならい、定量検査を推奨しています。当会ではG6PD活性定量測定検査を株式会社リバース IVC分析センターと共同開発し、医療機関に提供しています。現在、G6PD検査については日本で最も豊富な統計データと高い精度を有する検査会社で、大学研究施設からの検査委託を受けています。また、ベッドサイドで短時間でG6PD値を測定する海外製検査機器での定量測定をすることもできます。

冷蔵輸送・保管された輸入ビタミンC製剤を推奨します

国産のビタミンC製剤は防腐剤が入っておりビタミンCの大量点滴には使用できません。

ビタミンCを大量点滴する場合は、米国薬局法USPが定めた2~8℃の冷蔵保存を遵守した製剤の使用を点滴療法研究会では強く推奨しています。

ビタミンC製剤は還元型ビタミンC(アスコルビン酸)のみを封入していますが、溶液中では不安定なために自然光や温度の上昇に伴い酸化型ビタミンC(デヒドロアスコルビン酸)が発生します。酸化型ビタミンCの抗腫瘍効果はビタミンCにくらべて非常に弱く、抗癌剤の効果を減弱させる報告もあります。そのため、医師が患者に投与するビタミンC製剤は工場出荷から点滴に使用する直前まで厳密に温度管理する必要があります。

医療従事者の方々へ:取引業者・輸送業者に各基準の遵守を徹底ください

酸化型ビタミンCの発生の最大の要因は出荷から通関手続きでの温度管理になります。この出荷輸送過程で2~8℃を保つ方法は冷蔵コンテナ輸送しかありません。そのため医師の個人輸入によるビタミンC製剤の入手の際は、冷蔵コンテナで輸送している輸入代行業者にご依頼ください。

また、ラベルにUSPなどの基準の記載がある製剤につきましては、ビタミンC製剤であるかに関わらず各基準の遵守を取引業者・輸送業者に徹底ください。
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