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エキスパートインタビュー

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バートン・バークソン
Burton. M. Berkson, MD., PhD.
ニューメキシコ州統合メディカルセンター所長

http://drberkson.com/


【経歴】
ルーズベルト大学、東イリノイ大学、イリノイ大学を卒業しSt Luke’s病院・Mount Sinai病院で医学研修を積んで医師となる。ラトガース大学助教授・シカゴ州立大学助教授を歴任、メキシコ州立医科大学やHuran病院の指導員や、カンザス州ハンタークリニックのメディカルディレクターを勤める。また、ニューメキシコ軍事施設(国防省)にて内科医として勤めた経験もある。現在はニューメキシコ州統合メディカルセンター(The Integrative Medical Center of New Mexico)の所長。著書に「The Alpha Lipoic Acid Breakthrough」、「Syndrome X: The Complete Nutritional Program to Prevent and Reverse Insulin Resistance」、「Users Guide to the B Complex Vitamins」など多数。点滴療法研究会の国際ボードメンバーでもある。

1.点滴療法を始めるきっかけについてお聞かせ下さい。

オハイオ州クリーブランドの病院で内科研修医として勤務していたある日、上司が私のところにきて、「君には少し困っている」と言いました。上司は「君がみている患者はまだ一人も死亡していない。普通の研修医は今の君位の段階で数名の死亡者をだすものだが、君はまだ一人も死なせていない」と真剣に言われました。私も主任の意見には少し驚きましたが、「私は常に患者の命を助けるために全力を尽くしています」と答えました。それでも主任は不機嫌な様子で、「とにかく患者の死を体験しないのはまずい。今二名の重体患者がいるので今日から君の担当にする。必ず死ぬはずの二人だ。急性肝炎と劇症肝炎の患者で、二人とも毒キノコ中毒だ。肝臓専門医からは移植もできずに死を待つしかないと診断されている。今からその患者の病室に行き、死を見届けるまでしっかり記録をとって発表してもらう。」と言い残して去っていきました。


私はすぐに彼らの病室へ向かいました。研修医は主任の言うことに従うのがルールですが、私は常に新しい解決法を探す性格です。それに私は研修医としての経験だけでなく、微生物学と細胞生物学においてマスターとPhDを取得した経験があります。とにかく今は目の前にいる瀕死の二人を助けるために全力を尽くすしかないと思考をめぐらせ、ワシントンの国立衛生研究所のDr. Bartterに電話をしました。「瀕死の患者が二人います。彼らの肝臓を再生させる方法はないですか?」と聞いたところ、彼はアルファリポ酸の研究について、「糖尿病患者にアルファリポ酸を投与すると患者の臓器が劇的に回復する。幹細胞の活動を促進させて新しい臓器組織を構成しようとしているようだ。」と話してくれました。何もしないで死を見届けるより、何かに挑戦してベストを尽くしたいと思いました。Dr. Bartterにお願いをしたところ、すぐにアルファリポ酸を送ってくれることになりました。電話を切った3時間後にはクリーブランド空港でアルファリポ酸を受け取り、すぐに病院に戻って二人の患者に投与をしました。2週間後、驚いたことに、彼らはすっかり回復し、肝機能も正常に戻りました。


彼らは80歳を超えた今でも元気に生きています。これが、私が初めて点滴療法に出会ったきっかけです。自分でもびっくりしましたし、こんな素晴らしい療法に出会えて本当に興奮をしました。もちろん、上司のドクターはまたしても、私の患者が死ななかったのが不満でしたが、それは全く関係ありません。医療というのは、人を助けるためにあるものですから、最後まで諦めずに全力を尽くすべきだと私は思っています。


2.点滴療法をどこで修得しましたか?

元国立衛生研究所チーフのDr. Frederic C. Bartterに1977年より習いました。

3.点滴療法の師匠はいらっしゃいますか?

私に点滴療法を教えてくださったDr. Bartterが私の師匠です。ハイデルベルクにあるマックスプランク研究所(Max Planck Institute)をDr.Bartterと訪れた際に二人で講演を行いました。講演の後で、彼は私を抱きしめて「僕たち二人の力が合わさればアルファリポ酸の研究でノーベル賞も夢ではない!」と言ってくれました。残念なことにその後、彼はロンドンを講演で訪れた際に、タクシーにはねられて他界してしまいました。最愛の師匠を失った今となっては、私一人でアルファリポ酸の有効性、素晴らしさを医学界にうったえていかねばなりません。一人で出来ることには限りがあります。失ってみて更にDr.Bartterの偉大さを実感しています。

4.これまでに印象に残っている患者さんについてお話しください。

ある日、私の診察室に40代に若い男性がやってきました。彼は、かの有名なMDアンダーセン病院に入院をしているすい臓がんの患者でした。彼のすい臓がんは既に肝臓に転移が認められていて担当医からは余命2~3カ月と宣告されていました。「まだ若い息子と妻を残して死ぬわけにはどうしてもいかない」と彼は私にうったえました。「アルファリポ酸の点滴と低用量のナルトレキソン療法を試してみますか?」と彼に点滴療法の説明をしてから聞いてみたところ「もちろん!」と希望が見えてやる気のある回答が戻ってきました。その3ヶ月後、彼は仕事に復帰し、8年たった今でも再発の兆しは全くなく元気に家族と幸せに暮らしています。私にとっても喜びを与えてくれた彼の回復劇については、2006年にIntegrative Cancer Therapies誌に発表しました。

5.点滴療法研究会の会員へメッセージをお願いします。

柳澤厚生先生のリーダーシップのもと、高濃度ビタミンC点滴療法を中心に熱心に学んでいらっしゃるドクターたちにはとても感心し、感銘をうけました。新しい事を始めるのはとても勇気のいることです。人はすぐに批判をすることばかりをします。しかし、医者である限り、患者の生きる希望を奪うことではなく、生きる勇気を与えるために努力をしたいと私は常に思っています。テキサスにある私のクリニックには余命1カ月や数カ月と宣告されて、生きる希望を奪われた患者さんがたくさん訪れます。まずは、患者さんの話を聞いて、できる治療法を説明して、希望を与えます。多くの人が見事に回復をしています。中には回復ができなかった患者さんもいますが、私の患者さんは、少なくとも絶望の中で余生を過ごすことはしていません。点滴療法研究会の会員の皆さんには、今後も新しい療法に挑戦するオープンな気持ちを忘れずにいてほしいと思っています。セミナーでもお話をしましたが、私が長年患者に使用しているLDNとアルファリポ酸点滴のコンビネーションは自己免疫疾患と様々な癌に効果があると思います。アルファリポ酸は細胞を嫌気性の状態からを好気性菌へと導いてくれます。また、更に、グルタチオンを生み出し、T細胞の活動を活性化すること、重金属除去、虚血性障害を回復、有害な遺伝子発現を改善させること、ビタミンCやEなどの重要な抗酸化物質を再生することができます。私はよく、癌患者には、高濃度ビタミンC点滴を朝行い、ランチは外で好きなものを食べてもらい、その後でアルファリポ酸点滴を行います。このアルファリポ酸の点滴によって、朝点滴をしたいわば、’使用済みビタミンC’ が再び利用されるというアルファリポ酸の利点を活用しているわけです。


これでまたひとつ、新しい領域に興味を持っていただけましたでしょうか?このように、点滴療法研究会のみなさんには、是非、ひとつずつ、新しい療法の理解を深めていただいて、更に多くの患者と向き合って救って欲しいと願っています。

6.今後特に注目をされると思われる点滴の分野は?

私の行っている医療はアメリカの医療システムに少なからずとも影響を与えることができると信じています。アメリカでは、残念なことに、ほとんどの人は成功率が低くとも、大病院での高価で複雑な療法を選択しているように思われます。人気がでて信用される療法は、資金力のある大手の企業によってプロモーションをされるものだけとなってしまっています。シンプルで手軽な価格の療法は、なぜだかドクターにも患者にも無視をされているのが現状です。大手のように宣伝ができないからでしょう。以前私が、ワシントンDCにあるNCIで話をした時、ある一人の職員が、私の行う療法は、とても興味深いものだが経済危機が来ない限り、多くのドクターや患者に利用されることはない・・・・とはっきり言いました。私は、「世界大恐慌はまっぴらですよ」とお答えしました。アメリカではこのような状況なので、残念ながら私やその他の統合医療に関わるドクターの行っている療法はほんの限られたドクターや患者にしか注目をされません。しかしながら、海外のどこかの国々では、例えば高価な医療だけをいいものとしないドクターや政治家がいる国、深刻な病気の治療法として、新しい治療法の可能性に賭けることができるドクターのいる国では、必ず注目をされると信じています。日本でも統合医療が更に注目をされることを心から願っています。

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