エキスパートインタビュー

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平良 茂
ハートフルクリニック院長

【経歴】
琉球大学医学部卒業。同附属病院で循環器内科勤務。平成7年から医療法人白寿会理事長、ハートフルクリニック院長に就任。
平成12年に自由診療外来を開設。日本臨床自由診療研究会を主宰し、サプリメント外来や点滴療法などの自由診療外来に関するセミナーを開催。
平成22年国際統合医学会で優秀論文賞を受賞。点滴療法研究会ボードメンバー。抗加齢医学会認定専門医。栄養情報担当者(NR)。

1.点滴療法を始めるきっかけについてお聞かせ下さい。

一般内科として開業した当初から、薬物療法を中心とした対症療法に限界を感じていました。1997年ころ、友人の勧めでサプリメント内服による体調の改善を経験し、その頃からビタミンやミネラルについて学び始め、代謝経路図を作成し始めました。
1998年、「コレステロールを薬なしで低下させてほしい」という患者からの要望があり、サプリメントのみを用いて、予想以上に期待にそう結果を出しました。
そのころからサプリメント外来を本格的に開始しています。より体に優しく有効な治療法を模索して、栄養療法やサプリメントを用いた治療に点滴療法を加えた統合医療を展開するようになりました。
点滴療法は、より高い治療効果と体に優しい治療法を求めた結果です 。

2.点滴療法を始めるに至ったストーリーをお聞かせください。

修得から現在までの経緯ですが、点滴療法研究会、抗加齢医学会、キレーション普及協会、その他セミナーなどでキレーションやビタミンC点滴、マイヤーズカクテルをマスターすると同時に、オリジナルの点滴も開発し、オリジナル点滴では安全に点滴ができるよう、エクセルを用いた点滴療法レシピファイルを開発して、浸透圧を自動計算で算出するようにしました。
代謝経路図に基づき投与すべき栄養素を確定して、疾患後ごとの点滴レシピを開発し、セミナーで情報提供するようになりました。

3.点滴療法の師匠はいらっしゃいますか?

座右の銘は、”我以外、我が師“として活動しています。柳澤先生をはじめ、これまで経験した多くの外来患者(ゲスト)、多くのセミナーや研修会の講師や先生方を師としています。

4.点滴療法の得意分野は?

EDTAとビタミンCを合わせた治療を得意としています。
また、凝固しないオゾン療法のテクニックもタイラズメソッドとして得意としています。

5.これまでに印象に残っている患者さんについてお話しください。

多くの患者(ゲスト)から学びましたが、癌の統合医療で大量ビタミンC点滴を実施するに従い、気分不良を起こした症例については、臨床上も代謝上もかなり多くのことを学びました。
鉄代謝や糖代謝に異常がある場合の、大量ビタミンC点滴のリスクを知ることができました。

6.ハートフルクリニックについて。

1998年からサプリメント外来を開設し、続いてキレーション点滴やビタミンC点滴、オゾン療法などの酸化療法を実施するようになりました。並行して代謝に基づいてサプリメント療法をするようになり、根本療法を目指すようになりました。
現在は、保険診療を全廃し、栄養やサプリメント、点滴療法を基本とする完全予約制の自由診療外来を実践しています。

7.今、一番興味のある点滴療法は?

基本はマイヤーズカクテルですが、アミノ酸の過不足を採血や尿有機酸検査などから把握し、代謝経路図と照らし合わせ、その過不足を補うべくアミノ酸やビタミンC、B群を用いた精神疾患や慢性疲労、各種疾患に対する点滴を開発しています。

8.点滴療法を始めたばかりの方へのメッセージをお願いします。

まずは、基本となり安全性の高いマイヤーズカクテル点滴を自分自身や家族、スタッフに体験してもらい、その後臨床例を増やすことです。点滴は浸透圧の管理と配合禁忌の知識、さらに疾患により禁忌となる場合があるので、その知識を持って実施する必要があります。成功例も大切ですが、あまりセミナーで聞くことのない、失敗例を聞くことで、同じような失敗を回避することができます。先に実施している先生方から、多くの情報を入手しながら、実施して下さい。浸透圧計算は、計算式を把握することで、数値(浸透圧)を算出することができます。

9.点滴療法研究会の今後の展望についてお聞かせください。

点滴療法研究会は、国内外の権威ある先生方が情報を提供し医科や歯科の先生方の交流も図れる、発展性のある情報交換の場となっています。今後も、正しい情報の提供により、より強力な医科歯科連携を作ることがその使命になることでしょう。そのためにも、細胞内代謝を把握する各種検査による各種診断技術を駆使した、データに基づく点滴療法が今後求められることになるし、その情報を点滴療法研究会で提供することになるでしょう。栄養やサプリメンテーション、各種診断技術と点滴療法との関連、それら知識に基づいた医科歯科連携の強化が期待されるところです。



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