グルタチオン点滴療法

グルタチオン点滴とは?

グルタチオンは、肝臓などで生成される抗酸化物質で、3つのアミノ酸から成るペプチドです。
パーキンソン病の治療効果をはじめ、解毒作用や肝機能改善、美白効果があり、医療現場で広く使用されている安全な成分です。点滴と経口剤は日本では医薬品となるため、医療機関での取り扱いになります。

パーキンソン病とグルタチオン


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パーキンソン病とは、手足のふるえ(振戦)、硬直、動作緩慢や姿勢の 異常が見られる病気で、進行性であり有効な治療法が確立していないことから難病指定されています。主に高齢者で発病しますが、40歳以下で発症する若年性パーキンソン病のケースもあります。症状が進行すると、自力での生活や歩行が難しくなり、日常生活での介助が必要になります。

パーキンソン病は、大脳基底核の線条体という部位でのドーパミンの不足が原因であることが判明しており、標準治療ではドーパミンを補うための薬(L-dopa)を使います。しかし、L-dopaの効果は一時的であり、L-dopaにより活性酸素の産生が増加し、病気の進行を早めるという警告もなされています。

一方で、グルタチオンは脳にとって最も重要な抗酸化物質の一つであり、脳を様々な有害物質から守る役割を担っています。パーキンソン病患者の脳内において、この重要な物質であるグルタチオンが減少していることが分かっています。この事実をもとに、イタリアのSassari大学のチームがパーキンソン病患者にグルタチオンを点滴投与したところ、症状の顕著な改善が認められました。米国においては、Dr.Perlmutterがこの治療法を積極的に行い、非常に有効な治療であると報告しています。 南フロリダ大学においてもグルタチオン点滴の有効性が報告されています。

その他の適応疾患

・閉塞性動脈硬化症
・がん化学療法による抹消神経障害
・重金属解毒
・風邪の初期症状
・美白 など

安全性

日本では既に40年以上も前からグルタチオンを自家中毒、つわり、妊娠中毒、薬物中毒、慢性肝炎の治療に使用していました。妊婦への使用が認められていることから分かるように、副作用が非常に少ない、安全率の高い医薬品です。薬の副作用の治療に使われることもあります。
なお、米国では抗がん剤の副作用による指先のしびれ(末梢神経障害)、閉塞性動脈硬化症など様々な疾患の治療に使われています。

副作用について

【ビタミン製剤を添加する場合の注意】
■ビタミンB6はパーキンソン治療薬のレボドパの作用を減弱させるため、ビタメジンやシーパラなどのビタミンB6を含有している製剤は使用しません。
■パーキンソン治療薬の急な減量は転倒などを引き起こすので慎重に行います。まずは安定剤、眠剤から減量・中止していきます。
■がん治療を目的とした高濃度ビタミンC点滴と同日にグルタチオン点滴を行うことができません。なぜなら、高濃度ビタミンC点滴で生成した過酸化水素をグルタチオンが消去するからです。
■グルタチオン製剤は副作用の発生率が0.4%と低く、妊娠中でも安全に投与できます。
しかし、通常投与量の10倍以上の高用量であるため、副作用には十分に注意が必要です。稀に頭痛と吐気を訴えることがありますが一過性で、投与を中止により速やかに改善する場合が多いですが、すぐに医師にご相談ください。  
■製剤添付文書によると、総症例数6,522例(非経口投与4,772例、経口投与1,750例)のうち、副作用が報告されたものは、24例(0.4%)で、食欲不振、悪心・嘔吐、発疹等が主なものであります。また、静脈内注射時にアナフィラキシー様症状があらわれたという報告もありす。

 (1) 重大な副作用
   アナフィラキシー様症状(0.1%未満)
 (2)その他の副作用(0.1%未満)
   過敏症 (発疹等)・消化器 (食欲不振、悪心・嘔吐等)

治療費

■1回:5,000円から15,000円(税抜)■

自費診療のため費用、医療機関や投与量により異なります。
詳しくは最寄りのクリニックへお問い合わせください。

法定記載事項

■ 本治療は医薬品医療機器等法上の承認を得ていない(保険適応外での使用)ため、医療保険制度は使用できません。自費診療となります。

■ 急性・慢性湿疹、蕁麻疹、妊娠悪阻等の治療で承認されている「タチオン」という製剤を用いて治療します。各医療機関が、薬品卸会社などを通じて購入します。

■ 本治療に使用できる同一の性能を有する他の国内承認医薬品はありません。

■ 米国を中心とした諸外国で、グルタチオン点滴療法に関する臨床研究が行われていますが、その中で重篤な急性または慢性の副作用は報告されていません。




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